ダリッチ美術館


私はダリッチ・ギャラリーの日本人ハウスガイドです。
小さいながら、17、18世紀にかけての絵画では有名な美術館です。
1999年の改築工事の間は、東京、広島、福島、大阪、山梨、愛知で、展示いたしましたので、ご覧になった方も多いでしょう。
緑いっぱいで、ここまで足を延ばせば、すっかりカントリー・サイド気分。
是非、お越しください。 
壁はピンク、絵もびっしりと掛けてあり、ヴィクトリア風です。
ベンチも、ジョン・ソーンのデザインです。

コレクション 

最初は約350枚の絵画でしたが、今は650枚位あります。
18世紀の好みを反映してバロックのものが多く、集中的に楽しむ事ができます。
1600年代から1750年位までのヨーロッパ美術は実験的で、大胆で、異なる社会のクロスオーバー等から多様性が出てきた時代で、それらが万華鏡のように展示されているのです。例えば南では今だカソリックで、教会や金持ちの為の宗教画が多く、公共に見せる為の熱狂的、宗教的プロパガンダや、大きなサイズ等が特徴ですが、北では偶像崇拝をしないプロテスタントが台頭し、肖像画や、日常生活を題材にしたり、風景や静物を小さな額絵にして一般の人々に売りました。
又、それら南と北が行ったり来たりで、混ざり合ったりもしたのです。
ローマは、永遠に芸術家にとってのヨーロッパ文化の基であり、すべての芸術家を魅了しました。オランダの画家は、イタリアの金色の光と過去の栄光の証である遺跡などを描いて自国に持ち帰り、Dutch-Italianate(イタリア的オランダ風景絵画)というひとつのジャンルを作りました。低地の、曇った天気の多いオランダを、青空や陽光、遺跡、切り立った山岳等、絶対にありえない事象を空想で取り入れ、その風景の中で、大変オランダ的な牛をのんびりはべらせたりしているのですが、北の人々の太陽へのあこがれ、古代文化への畏敬等が感じられます。 
アルバート・カイプ 「牛飼い達と牛」 1660 オランダ 
フランスからローマに行ったプッサン Nicholas Poussin、クロード Claude Lorrainのふたりは、時には一緒にスケッチをしたりした友人ですが、風景を正確に観察し、古代社会が残した偉大な足跡である遺跡を尊敬をもって描き、クロードはそこに物語を挿入した風景画を描き、後の風景画の流行の発端を作りました。プッサンは古典彫刻、ラファエロやカラッチの絵等から絵画の構造を研究し、その後フランス芸術の本流となる新古典主義の基を作りました。 
ニコラス・プッサン 「リアルドとアルミダ」 1628-30、ローマ 
本国イタリアのレニ Guide Reni、フランドルのルーベンス Peter Paul Rubensの誇張された肉体は迫力を感じます。レンブラント Rembrandt Harmebsz van Rijnの3枚の肖像画は、画家が26才、39才、57才の時のもので、彼がいかに光と質感を描くのに情熱を傾けていたのかを異なる時代の光と陰、絵の具の厚さや筆のタッチの変化などから感じとることができます。 
レンブラント 「窓辺の少女」 1645、オランダ
ギャリーで一番の人気娘で、よく貸し出しでいなくなってしまいます。 
17世紀の英国は他の国よりも絵画においては遅れていました。しかし18世紀は有名な肖像画家が出ます。そのひとりのレノルズ Joshua Raynoldsの「悲劇のミューズに扮するシドンズ夫人 Mrs Sarah Siddons」は漱石も言及しています。「十八世紀は一面にクラシカルな世である。・・・所が今言ふ肖像画は決してクラシカルな題目ではない。レノルズは此中間に立って巧みに此の二者を調和して彼の画を時勢に応じる程のクラシカルなものにしたのである。」レノルズはモデルに古典的な衣装を着せ、物語や神話の登場人物のように肖像画を描く事で人気を博していました。同時に人気のあったゲーンズボロ Thomas Gainsborough の描いたリンリー家 Linley の人々は彼の友人家族でもあり、自然な、ゆったりした、暖かさのある肖像画で、現代に通じる感情のこもった絵です。 

ジョシュア・レノルズ 「悲劇のミューズを演じるシドンズ夫人」 1784頃 

有名な画家としては上記のほかに、バン・ダイク Van Dyck、ムリリョ Murillo、ワットー Watteay、テイエポロ Tiepolo、カナレット Canaretto等、約350枚を展示しております。 

おわりに美術館は月曜日はお休みです。詳しくはホームページをご覧下さい。
www.dulwichpicturegallery.org.uk 

住所
Dulwich Picture Gallery
Gallery Road, Dulwich Village,
London SE21 7AD 

電話
020 8693 5254
FAX
020 8299 8700