Cabmen's Shelter

ロンドンに来たことのある人は、道の真ん中に建っている、こんな小さな緑のおうちに気がついたかもしれません。
これらのおうちは正式には「Cabmen's Shelter(タクシー運転手の休憩所)」という名前です。
その昔、タクシーの運転手さんが(馬車の時代も含めて)仕事の合間にちゃんと暖かい食べ物が取れるようにと作られた、小さなカフェなのです。
提唱は1875年、シャフツベリー卿です。

シャフツベリー卿はヴィクトリア時代の政治家で、工場の法律を整えて、子供の労働のいき過ぎを規制した、キリスト教精神の象徴でもあった人です。
ちなみに彼の記念碑が、有名なピカデリーサーカスの「エロスの像」。
「エロス」というのは実は間違って広がったあだ名で、本当はエロスの双子の兄弟「アンテロス」です。

話をカフェに戻すと、19世紀の終わりから20世紀のはじめにかけて「Cabmen's Shelter Fund」 というチャリティー基金で60ほどのカフェが、ロンドンの街中に出来ました。

現在では数が減って、ロンドンの街中に10ちょっと残っています。
この写真はヴィクトリア・アルバート美術館前です。
道路工事のおじさんもお茶を買っているでしょう?

こんな風に、今ではタクシーに関係の無いひとも、食べ物や飲み物を買うことができます。面白いエピソードもいくつかあって、テンプル駅の横、ハワードホテルのナナメ向かいに立っているカフェは、オリジナルのものから50メートルくらい西に移転しました。
5つ星のホテルの玄関に、みすぼらしいカフェはふさわしくないと考えた、ホテルのオーナーが、撤去を申し立てたのですが、許可が下りずに多額の費用をかけて少しずらすことで、折り合いをつけたのです。

また、ラッセルスクウェアーのカフェは、もともとレスタースクウェアーにあったものです。
引越しの理由は、レスタースクウェアーが歩行者専用になったため、タクシーが駐まれないからです。

緑色のカフェの周りには、大概タクシーが数台駐車できるスペースがあって、運転手さんたちがおしゃべりをしながらお茶を飲んでいますから、興味のある人は質問してみると、いろいろ教えてくれます。

ロンドンのタクシーの運転手さんになるには、とても難しい試験にパスしないといけないので、ほとんどの運転手さんはとても誇りに思っています。
道に迷ったら、タクシーの運転手さんに聞くのが一番。
世界でも一番といわれています。
ちゃんと、ロンドン市のメンバーにもなっています。
ギルドの名前はハックニーキャリッジギルド。
タクシーがライセンス制になったのは17世紀というから驚きです。
でもその前身である、ウォーターマン(水上タクシー)のライセンスは12世紀くらいからあるそうです。

記事と写真 バートリーみき