グローブ座

ロンドンでは夏の間だけですが、チューダー朝のスタイルでシェークスピアを楽しむことができます。
シェークスピアが生まれたのは1564年、亡くなったのは1616年ですから、日本では戦国時代から江戸時代の初め頃。
1616年には徳川家康も亡くなっています。

イギリスではこの時代、娯楽といえば動物を戦わせてお金を賭けたり、観劇といった程度。
今のように、エンタテイメントが溢れている時代からは、想像も出来ない暮らしだったのです。
そこでどの劇場も大変に混みあいました。
庶民から貴族まで、たくさんの人が劇場に詰め掛けましたから、事故も多く、火事などで大惨事になることも稀ではありませんでした。

ロンドンではそういったことも考えて、大きな劇場はロンドンのすぐ外側に建てられました。
その頃の建物は木骨造りと呼ばれて、木と漆喰に茅葺です。
燃えやすい材料で出来ていました。

シェークスピアが株主だったことでも知られるグローブ座も、テムズの南、サザーク地区に建っていましたが、残念ながら火事のために失われてしまいました。
そのグローブ座を「シェークスピアの時代のまま再現しよう」というアイディアが生まれて、なんと今ではその時代のお芝居を楽しむこともできるようになっています。

この劇場には2通りの席があります。
ひとつは平土間で立ってみる席。
これは庶民が楽しんだ観劇方法です。
舞台の高さは、立っている人のあごの辺り。
席割りはありませんし、ウロウロしたって大丈夫。
でも雨が降っても屋根はありませんし、傘をさすことは出来ません。
もうひとつは舞台をぐるりと見下ろすように作られた桟敷席。
この写真は、桟敷席から。 
ヘンリー8世を楽しんだときのものです。
ヘンリー8世はシェークスピアの書いた最後の作品です。
ローマや宗教の圧力から英国を独立させて、英知を持ってこの国を治めた彼に、未来の偉大な女王エリザベスが生まれて、その洗礼式で幕となります。
さすがエリザベス女王の時代に活躍した劇作家。
でもこの作品を最後に、劇作家をリタイアしたってことは、何か思うところがあったのかも。
シェイクスピアは、潔く華やかなロンドンを去って、故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォンに隠居します。


この写真の一番左下に、立ち見の人が見えるでしょう?
こんな風に舞台のすぐ横で観劇を楽しむことができるのです。

正直なところ、英語がわかって、なおかつ主要な登場人物のバックグラウンドがわからないと、この作品を楽しむのは難しいかもしれません。
初めてシェークスピア、という方はもう少し軽めの作品か、よく知られたストーリー物がお勧めです。
でもグローブ座での観劇は、他のどの劇場でも味わえない雰囲気がありますから、ぜひ一度お越しください。

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